初恋指南(1)

初恋指南 1 (ちゅちゅコミックス)

初恋指南 1 (ちゅちゅコミックス)

たまには漫画でも書評。
といってもあまり漫画は読まないんですが、やぶうち優三田紀房の漫画だけはよく買っている自分です。
ここでジャンルが違いすぎる。とかいう人は脊髄反射的。
だってこの漫画、漫画を読みながら漫画の描き方が学べるんですよ。さらに、後ろのほうに漫画塾と題した漫画の描き方講座がついています。
そう、つまりこれは少女漫画版ドラゴン桜なんだよ!!


まあそれはともかく、
この漫画は漫画家を目指している16歳の女の子の話。恋愛経験は0で、恋愛知識は漫画から得ており、そのおかげで友達の"恋愛指南"となっている。
そんなある日、生徒会長で顔はよくて頭もいい男と廊下でぶつかる。学園物にありがちですね。ただ、この主役の女の子、南央はこの生徒会長、賢人のことがニガテで、心の中で絶対に好きになっちゃいけない相手と決めている。今まで読んだ漫画の経験からして好きになったら後悔するとのことだ。
そしてあと一人の主要登場人物と思われるのがチャット友達で新人漫画家の美柚。実は言うと、これがまた偶然にも賢人のいとこで、美柚の手伝いを賢人はよくやっており、賢人が美柚を手伝うことになった南央を迎えに行って二人の関係を知る。
いっぽう、南央の漫画のほうは投稿していた漫画雑誌に銀賞として受賞し、この本の最後にはデビューにまでたどりつく。


とまあ簡単に言ってしまえばこんな話。漫画家を目指している女の子の話。と聞いて、普通だな〜、と思い、今回は買おうかどうか迷ったのだが、なかなか面白い。
本書によると、漫画とはエピソードよりもキャラクターのほうが大事とのことで、この漫画も登場人物がどういうキャラクターかはっきりしており、それにあわせてストーリーが進んでいく。
ところで、前にこの物語の主人公はツンデレと聞いたのだが、こういうものをツンデレというのだろうか? 確かに、それっぽい場面、たとえばちょっと優しくしたぐらいで好きになんないんだから! 的な描写はあったが・・・
そ、それよりな、なんですかこの美柚ってキャラは。最初はいー感じのお姉さんタイプ? キレイで優しくて。多分、主人公もそう思ったであろうことを自分も思っていたんですが、読み進めていくうちにものすごいギャップ(このギャップについても本書で語られており、"人は初対面の人を前にしたとき無意識にそれまで知ってる人のうちから印象の近い人にキャラを当てはめようとするらしい"とのことだ。自分も前に経済学本で同じようなことを聞いたような気がする)。
うーん、この性格は、なんといえばいいんだろうか? やぶうち優の作品では、少女少年の黒木紗夜香がこんな性格に近いか。でも、それも少し違うような。なんていうか。まあ正直言って、怖いです。
ところで妹は美柚が登場してきたときにすぐ美鈴が賢人のことを好きだと気づいたそうです。
どこにそんな描写があるか分かりません!


後、本書によると漫画家には大きく分けて『天性の才能や運に恵まれてるタイプ』『努力と根性でチャンスをつかみとっていくタイプ』『努力を努力と思わないタイプ』の3つのタイプがあるらしく、南央は最後の『努力を努力と思わないタイプ』にあたるそうです。このタイプがいちばん怖いとのことですが、これはどういうことなんだろうか?